肺炎と風邪の症状は、似ていることから発見が遅れることがあります。 そのため、症状が重症化してしまうこともあります。 肺炎は、高齢者にとっては命にかかわることもあるので注意が必要です。 日本における肺炎による死亡する人は、1年間で約11万人です。 「がん」による死亡が一番多く、次いで「心臓病」「脳血管疾患」で、肺炎は4番目に多い死因となっています。 では、風邪の症状との違いは、どのような症状があるのかというと、一般的な風邪の症状は、「発熱」「咳」「痰」などです。 肺炎も同じような症状もありますが、熱が38度以上、これまでになったことがないようなつよい咳、濃い色した痰などがあらわれます。 また、風邪は3日から4日ほどで症状が回復しますが、肺炎の場合は長引きます。 さらには、息苦しさや胸の痛みなどを伴うこともあります。 そして、高齢者の場合は、体力や免疫力の低下によって、体の防御反応が弱く、肺炎になっても症状が現れにくくなります。 そのため、高齢者の場合は、息苦しさ、胸の痛み、意識がもうろうとするなどの症状が現れることがあります。 風邪のような症状が長引いている、風邪やインフルエンザになった後、食欲がない、呼吸が速い、ぐったりしているなどの症状があるときは、肺炎の疑いがあります。 高齢者の場合は、このような症状の変化を見逃さないことが大切です。 ...
肺炎は、風邪やインフルエンザにかかった後に起こりやすいとされています。 健康な状態であれば、肺まで病原体に感染することはありません。 風邪やインフルエンザによって免疫力が低下していると、肺へ病原体が侵入しやすくなります。 肺炎を起こしやすい主な病原体は、「肺炎球菌」「インフルエンザ菌」「マイコプラズマ」「クラミジア」などがあります。 肺炎球菌やインフルエンザ菌は、常に体に存在している細菌で、口の中や皮膚に存在しています。 これらは、高齢者ほど感染しやすいとされています。 一方、マイコプラズマやクラジミアなどは、人から人へ感染するので、若い人がかかりやすいとされています。 また、肺炎が起こりやすく、症状もひどくなりやすい人は、次のような人たちです。 ●高齢者 体力低下や免疫力低下などによって、病原体に感染しやすく、肺炎にかかると治りにくいです。 症状も進行しやすいです。 ●慢性的な病気にかかっている人 ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症などの呼吸器疾患、慢性不全や心臓弁膜症などの心臓疾患、慢性腎不全などの腎疾患、肝硬変や慢性肝炎などの肝臓の疾患などがある人です。 また、がんや糖尿病、関節リウマチや膠原病などの人は、免疫力低下の状態のため、肺炎を起こしやすいので注意が必要です。 ...
肺炎かもしれないと疑いがある症状がみられるときは、内科もしくは呼吸器科を受診することをおすすめします。 受診した際は、既往症について、服用している薬なども含めてしっかりと、伝えることが大切です。 肺炎の疑いによる内科や呼吸器科で行われる診断は、次のようなものです。 ●問診 どのような症状なのか、いつから、症状の続いている期間はどのくらいか、市販薬の使用の有無、身近に同様の症状の人がいるかなど、医師による問診が行われます。 ●聴診器による診察 聴診器を使って聴くと、肺炎になっているかどうか、肺炎の場合、症状がどんな感じなのか調べます。 肺炎になって、症状が中等症から重症になっている場合、気管支に痰がたまってしまうので、「プツプツ」「パリパリ」というような音がします。 ●胸部エックス線撮影 肺炎なっていると、炎症している部分が白っぽく写ります。 左右片方の肺3分の2以上が白っぽくなっていると肺炎が重症化しているとされます。 ...
肺炎は、肺を炎症させている病原体を死滅させなければ治りません。 そのため、その肺炎の原因となっている菌を死滅させる「抗菌薬」を用いて治療します。 若年齢の人や基本的に健康体の人の場合は、ある程度まで菌の増殖を抑制することができれば、死滅までできなくてもあとは、体力の回復や免疫力によって肺炎が治ることもあります。 逆に、高齢者や慢性的な疾患がある人は、免疫力も低下しており、体力低下もしていると、増殖を抑えただけでは、再度肺炎の症状がぶり返す場合があります。 ですから、高齢者や慢性的な疾患がある人は、肺炎の原因となっている菌を死滅させなければなりません。 主に使われる抗菌薬は、次のようなものです。 ●ペニシリン系薬 肺炎の基本治療薬で、さまざまな菌に効果もあり、安全性の高い薬です。 ●セフェム系薬 ペニシリン系薬で症状が改善しないときに使われます。 ●カルバペネム系薬 ペニシリン系薬やセフェム系薬で症状が改善しないときに使われます。 特に肺炎の症状が重いときに使われます。 ●マクロライド系薬 マイコプラズマやクラミジアなどによる肺炎のときに使われます。 ●ニューキノロン系薬 新しい抗菌薬で、さまざまな菌に有効とされている薬です。 慢性的な呼吸器の疾患がある人に効果があるとされています。 セフェム系薬やマクロライド系薬で症状が改善しないときに使われます。 ...
肺炎の治療薬には、さまざまな系統の抗菌薬があります。 それらの薬にも副作用が出る場合があります。 ペニシリン系薬やセフェム系薬、カルバペネム系薬による主な副作用の症状は、「アレルギー」「ショック反応(血圧低下)」などです。 マクロライド系薬による主な副作用の症状は、「肝機能障害」などです。 ニューキノロン系薬による主な副作用の症状は、「日光皮膚炎」「けいれん」などです。 ペニシリン系薬やセフェム系薬、カルバペネム系薬、マクロライド系薬による副作用が出ることは、まれなことです。 ニューキノロン系薬による副作用は、出やすいので注意が必要です。 薬による副作用が出た時は、ただちに薬の使用を中止します。 副作用の症状が出やすい人は、慢性的な疾患がある人です。 特に抗菌薬は、腎臓を経由して排泄されるものが多いので、腎臓に疾患を抱えている人は、腎臓の働きに悪影響を与えてしまうことがあります。 また、常用している薬と抗菌薬の相互作用によって副作用の症状が現れることもあります。 ...
入院が必要な肺炎とは、症状が重症になっている場合です。 呼吸困難のために、酸素の取り込みが悪く、体内の酸素が足りない症状になっているときです。 さらに、ひどくなると食欲低下、脱水による「意識障害」「血圧低下」などになったりします。 これらの症状は、高齢者に起こりやすいです。 入院による治療は、抗菌薬による治療だけでなく、酸素吸入や栄養、水分補給など全身の状態を管理するものです。 入院する期間は、一般的に10日から2週間ほどです。 肺炎の治療をしても治りにくい場合があります。 それは、次のような場合です。 ●体力や免疫力の低下 糖尿病やがん、肺や心臓、腎臓、肝臓などの疾患がある人、高齢者や栄養状態が悪い人なども肺炎が治りにくいです。 ●抗菌薬が病原体と合っていない場合 病原体と抗菌薬が合っていないといくら治療しても症状が改善されません。 3日治療しても症状が改善されないときは、病原体を調べる検査を行い、抗菌薬を変えていきます。 ...
肺炎を治療する抗菌薬の効果が見られない場合があります。 抗菌薬の効果がみられない原因として、「耐性菌」の可能性があります。 耐性菌とは、今までの抗菌薬に耐性となってしまうことで、抗菌薬が効かなくなった菌のことです。 この耐性菌で最も高いものは、「肺炎球菌」です。 成人の患者さんにおける肺炎球菌の耐性率は、20%から30%です。 そして、インフルエンザ菌の耐性率は、およそ20%とされています。 ほかに、薬剤耐性のある細菌が増加しています。 耐性菌は、つくらないことがとても重要なことです。 耐性菌をつくらないためには、早期の段階で効果が出る薬を使って治療することが大切です。 また、決められた量をきちんと決められた期間投与する必要があります。 耐性菌における治療は、合う薬を少しでも早く選び使用することです。 入院による治療の場合は、入院期間が少し長びくことがあります。 耐性菌の治療は、根気よく治療を継続することが必要です。 ...
高齢になるほど、肺炎にかかりやすくなるため、注意することが大切です。 そこで、自分でできる肺炎予防対策について紹介します。 ◆風邪をひかない 肺炎を引き起こすような原因をつくらないように注意します。 もし、風邪などになってしまったときは、症状を悪化させないようにします。 風邪をひかないようにする対策は、次のようなものです。 ・人込みを避ける 風邪が流行する時期に人込みへ行く場合は、マスクなどの使用を心がけます。 ・こまめな手洗いとうがい うがいと手洗いをしっかりとします。 手洗いは、手首までしっかりと洗います。 うがいは、ガラガラと喉の奥まで、3回から4回ほど繰り返し行います。 ・保温、保湿、換気 風邪のウイルスは、低温と乾燥を好むため、室内の温度を20℃くらいに維持して、加湿器を使うなどして、湿度も維持します。 湿度は40%以上がおすすめです。 さらに締め切った状態では、室内に菌が繁殖しやすい環境となるので、定期的に換気をすることも大切です。 ◆体力の維持 さらに、体力維持ができるような生活を送ります。 ・十分な睡眠と栄養 バランスのとれた食事と十分な睡眠がとても大切です。 高齢になりあまり食事がとれないときは、おかゆ、卵、白身魚、ヨーグルトなど食べやすいものがおすすめです。 ・不規則な生活を避けます 仕事などの疲れが、次の日まで残るような生活は避けるようにします。 こまめに休憩などを入れて、過労にならないように心がけます。 ◆口の中を清潔に保つ 肺炎を起こす原因となる病原体は、日頃から口の中に存在していることが多いです。 うがいや歯磨きによって、その菌を減少させて口の中を清潔に保つように心がけます。 ◆禁煙 喫煙によって肺の働きを悪くさせます。 そのため、肺炎を引き起こしやすくなるので、禁煙をおすすめします。 ◆ワクチン接種 肺炎の原因となる肺炎球菌やインフルエンザ菌は、ワクチン接種によって予防することができます。 ◆持病の治療 日頃からきちんと基礎疾患がある人は、きちんと治療して体調管理をしっかりとすることが大切です。...